私、編集部のエリリンが、施設の取材中に出会った魅力的なスタッフさんの働き方や考え方をご紹介して、勝手に「カイゴー仮面」に認定しちゃうコーナーです。介護の仕事に携わる方、介護の仕事に興味を持っている方にお届けします♪
2015-06-11|プレジールヴィラ市川(千葉県市川市) 介護福祉士
今回は、高齢者の尊厳を守る介護ケアに取り組む介護福祉士さんです。
まえがき
さてさて、今回取材に伺ったのは、千葉県千葉市にある「プレジールヴィラ市川」さん。こちらは、費用・サービス・設備など、全てがワンランク上の介護付有料老人ホームです。
取材中に、テーマパークの元気なお姉さんのようなスタッフさんを発見しました。斎藤さんというお名前で、キャリア14年目とのこと。施設の方のお話だと、高齢者の尊厳を守る介護ケアに取り組むプロフェッショナルなんだとか。ではお話を伺っちゃいましょう。
ちょこっとインタビュー
インタビューの最初に、自己紹介をしてくれました。「福祉の専門学校を卒業後、2つの施設を経験して、当施設のオープン翌年に転職しました。プライベートでは3年前に職場恋愛を経て結婚し、今も夫婦同じ職場で働いています!」とのこと。いい笑顔ですね~。では、お仕事のこと、いろいろ聞かせてください。
──介護職として一番大切にしていることってなんですか?
いろいろありますが、一番は「人間としての尊厳を忘れずに、相手が求める存在になること」ですね。自分が施設にいることを理解している方にはいち介護職員として接しますし、認知症でここがどこだか分からず、自宅だと思って私のことを「お嫁さん」って呼ぶ方にはお嫁さんとして、ホテルだと思って「今、旅の途中なんだ」と言う方にはホテルマンとして、丁寧に“おもてなし”をしています。
「ここは介護施設ですよ」という説明はしません。入居者様が安心して生活を送れることが一番なので、入居者様から信頼が得られるなら、私はお嫁さんにもなるし、ホテルマンにもなっちゃいます。
──認知症の方に対して気を付けていることはありますか?
「感情はある」ということを忘れないことです。認知症って、記憶障害や学習障害などが衰えていきますが、感情は衰えないんですよ。今日の日付や家族の顔がわからなくなっても、心の喜怒哀楽は残り続けるんだそうです。私は認知症委員会に入っているので、外部研修などで専門知識を学ぶ機会が多いんですが、研修で参加者達と、ロールプレイングで「認知症の疑似体験」をしたことがあります。認知症の役になると、「さっきも言ったでしょ」「また漏らしたの?」「同じ話ばっかりで疲れる」など、不快な言葉を浴びせられるのですが、体験とわかっていても傷付きました…。介護職に就く人には、ぜひ一度経験して欲しい学びです。その方についての不満を言う職員同士の会話が聞こえて傷付かれてしまうケースも多いんです。入居者様の問題行動が治まらないのは、自分達の態度が原因かも…という視点も大切だと思います。
──介護職員として働く際の基本姿勢を教えてください。
傾聴することが大切だと思います。相手と同じ目線になって、相手の気持ちに寄り添いながら、心の訴えを聴くこと。「私が入居者だったら、こんな風に接して欲しい」ということを、いつも考えています。当施設の入居様は立派な経歴の方ばかりで最初は緊張しましたが、経歴が立派だからといって、みなさんが特別な接客サービスを求めているわけではありません。多くの方が「家族的な関わり」を求めています。もちろん入居者様みなさん人生の大先輩なので、敬語でお話をしますが、私を家族の誰かだと思っている方にはくだけた物言いもするようにしています。心がふさぎ込んでいる時、「お嫁さんが来たよ~」の一言で笑顔になる方もいるので。ただ、家族を演じていると気持ちが入り過ぎてしまって、お別れの時がとても辛いです。うちの施設では、「ここで最期を迎えたい」という方のために、看取り介護を行っているんです。
──斉藤さんは、入居者様の死をどう乗り越えているんですか。
ほとんどの方が亡くなる前に、ご飯が食べられない・お水が飲めない昏睡状態に入るのですが、その姿と向き合うのが一番辛いです。亡くなった後は、すごく穏やかな表情の方ばかりなので、「天国では美味しいご飯をたくさん食べて、ゆっくりしてね」という気持ちになります。老化や死って、誰にでも訪れる当たり前のことだですから。私だって、入職当時はピチピチの20代だったけど、結婚して主婦になって、しっかり年を取りました(笑)。
──そういえばご主人とは、職場恋愛で結ばれたんですよね?
そうなんです。どちらかが辞めるべき?と思ったのですが、上司が「全然構わない」と言ってくれたので、今も夫婦で働いています。ただ、職場では他の職員と同じように接しているので、新しく入ってきた方は気付かないみたいです(笑)。
【インタビュー後記】 勝手に認定!
介護フロアでずっとニコニコと働いているので、なぜそんな風に働けるんですか、と尋ねてみるたら「私が笑顔でいないと、周りも笑顔にならないから」というステキな回答が返ってきました。入居者様への声かけが、礼儀正しく、かといって他人行儀でもないちょうどよさで、介護職としての接遇マナーが素晴らしかったです。
というわけで、私エリリンが、認知症を学び、高齢者の尊厳と心に寄り添ったケアに取り組む斉藤さんを、勝手に「カイゴー仮面」に認定! 斉藤さん、これからの活躍に大いに期待しています。エリリンでした!